日本ワークディスカッション研究会

ご挨拶

Let’s Talk !

 

理事長 鈴木 誠

 

 ワークディスカッションは、1980年代に英国のタビストック・クリニックで対人援助職の継続的職業訓練として開発されました。それはワークディスカッション・セミナーと呼ばれ、さまざまな領域で働く、多種多様な援助職の観察力や対人スキル向上に貢献していきます。毎週開催されるケースカンファレンスやグループスーパービジョンに似たワークディスカッションは、その可能性に気づいた臨床家によって、より幅広い援助状況に応用されていくようになります。医療や福祉、教育、国際NGOでの援助場面など、いずれも心理療法の届かぬ過酷な現場ばかりです。さらに組織や多職種混成チームの研究方法や組織コンサルテーションの技法にもなり、精神分析やシステム論を基礎理論とした、汎用性のある『方法論』に進化を遂げています。

本邦でも2015年にこの方法論を紹介した書籍が出版されて以来、学校の教師、児童養護施設や医療施設のスタッフ、臨床心理士養成大学院など、さまざまな領域の対人援助職に対して実践されはじめました。また心理臨床の事例検討会やグループスーパービジョンにも応用されて、その汎用性が注目されています。ただ本邦では、低頻度で施設内で実践することが多く、その立ち上げや運営、グループのファシリテートには固有の難しさがあることが分かってきました。そこでこうした本邦での課題を探索し議論し克服するために、日本ワークディスカッション研究会が設立されました。

 

本研究会は今後、この方法論の本邦での実践経験を集めて、必要な理論や技法を研究し、ファシリテーターが装備すべき理論やその訓練について探究するための活動を展開していきたいと考えております。この方法論に関心のある方々とともに、対等で自由闊達な話し合いが広がっていくことを期待しています。